ANU Pathway Diplomaは、The Australian National University(ANU)の学士課程につながる、オーストラリア資格枠組み(AQF)レベル5の資格です。フルタイムでの修業期間は1年間で、対応する学士課程への進学条件を満たせば、1年分に相当する48 unitsの単位認定を受けられます。Diploma自体が独立した資格である一方、留学生の入学はDiplomaと学士課程を組み合わせることが前提で、Diplomaだけを1年間学ぶ目的では開始できません。
AQFレベル5の資格と、学士課程への進学経路を兼ねる
ANUはこの仕組みを、資格と進学経路を組み込んだ「nested programs」と説明しています。理解するうえで分けておきたいのは、次の点です。
| 項目 | ANU Pathway Diplomaの位置付け |
|---|---|
| 取得する資格 | 独立したAQFレベル5のDiploma |
| 学習期間 | フルタイム12か月、2学期 |
| 科目数 | 8科目 |
| 学士課程との関係 | 対応する学士課程への条件付き進学経路 |
| 対応課程での単位認定 | 進学条件を満たした場合、1年分に相当する48 units |
| 留学生の入学形態 | Diplomaと学士課程を組み合わせたパッケージ |
資格として独立していることと、単独受講が認められることは別です。また、Diplomaへの入学だけで、その後の学士課程への進学が確定するわけではありません。
学士課程の学生と同じ科目を学ぶ
カリキュラムには、大学での学習に必要な力を扱う「ESEN1001 Academic Skills for University Study」と、学士課程の学生も履修する1000レベルの科目が含まれます。学士課程と共通する学習を進めながら、必要な成績を満たして次の課程へ進む構成です。
プログラムを提供するのはANUが完全所有するPathwaysの組織で、第三者のカレッジではありません。学生は入学時からANUの学生として扱われ、学生寮へのアクセスも学士課程の学生と同じです。
授業はキャンベラのActon Campusで対面のみ実施され、遠隔受講の選択肢はありません。入学時期は現在、Semester 1のみです。
学習支援には、入学前の履修相談、在学中の個別の学習相談、学習参加状況や進捗に応じた働きかけ、学内サービスへの案内、学士課程への移行支援が含まれます。
進学先によって必要なGPAが異なる
用意されているDiplomaは、Business and Economics、Computing、Politics and International Relationsの3分野です。対応する学士課程と進学に必要なGPAは、次のとおりです。
| Diploma | 対応する学士課程 | 必要GPA |
|---|---|---|
| Diploma of Business and Economics | Bachelor of Accounting | 4.0 |
| 同上 | Bachelor of Business Administration | 4.0 |
| 同上 | Bachelor of Commerce | 4.0 |
| 同上 | Bachelor of Economics | 4.0 |
| 同上 | Bachelor of Finance | 4.0 |
| Diploma of Computing | Bachelor of Computing | 4.0 |
| Diploma of Politics and International Relations | Bachelor of Asian Studies | 4.0 |
| 同上 | Bachelor of International Relations | 4.6 |
| 同上 | Bachelor of International Security Studies | 4.6 |
| 同上 | Bachelor of Political Science | 4.6 |
| 同上 | Bachelor of Public Policy | 4.6 |
特にPolitics and International Relationsでは、希望する学士課程によって必要な成績が変わります。Diplomaを選ぶ段階で進学先も整理しておくと、在学中に目指す成績が明確になります。
対応外の学士課程では、単位認定は個別審査になる
Diploma修了後、上の表にない学士課程へ出願することも可能です。その場合は、ANUで学部段階の学習を1年間行った学生と同様に審査されます。
ただし、単位認定は個別に判断されます。進路を変更した場合まで、48 unitsの認定が保証されるわけではありません。
入学時の学力条件と、進学時のGPAは別に考える
Diplomaの入学基準となるselection rankの最低値は70で、主な対象は70〜79.99の学生です。Selection rankは入学選考に用いる指標で、入学後の成績を表すGPAとは異なります。
Selection rankが80以上の学生は学士課程に出願する扱いとなり、Pathway Diplomaを開始できません。Diploma自体には前提履修科目の指定がなく、selection rankの加点措置も適用されません。
英語の直接入学基準は学士課程と同じで、IELTS総合6.5、各技能6.0以上、または同等の英語資格です。学力基準と英語基準は、それぞれ満たす必要があります。
留学生のパッケージでは、Diploma用と学士課程用のCoEがそれぞれ発行され、ビザ申請はまとめて1件として行う形です。また、資金面でもDiplomaから学士課程までの一連の学習を支えられることが前提となります。
2027年の年間授業料目安はAUD 57,640
『ANU 2027 International Guide to Pathway Diplomas』に記載された年間授業料の目安は、各Pathway DiplomaともAUD 57,640です。
これは2027年のDiplomaの年間授業料目安であり、Diplomaと学士課程を合わせた総額ではありません。学費を検討する際は、Diplomaの授業料、進学後の学士課程の授業料、生活費を分けて整理する必要があります。
奨学金についても、Diploma在学中と学士課程への進学時では扱いが異なります。多くの学生は、Diploma在学中にはANU International Achievement AwardおよびVice-Chancellor’s Awardの対象になりません。DiplomaのGPAが4.6以上の場合、学士課程への進学時に審査対象となりますが、受給が確約されるわけではありません。
例外として、Pacific Regionの国籍を持つ学生には、International Achievement AwardによりDiploma開始時から授業料の50%割引が適用される扱いが示されています。
出願前に整理したいのは、資格名より進学先と条件
ANU Pathway Diplomaを検討する際は、希望する学士課程が対応先に含まれるか、その進学に必要なGPAはいくつか、進路変更時の単位認定がどう扱われるかを整理することが大切です。
出願経路は、オーストラリア国内でAustralian Year 12、IB、NCEA Level 3を修了する学生はUAC、それ以外の留学生はANU Application Manager/Studylinkです。
Diplomaという資格を取得できることに加え、どの学士課程へ、どの条件でつながるのかまで含めて判断すると、自分の進学計画に合う経路かを考えやすくなります。